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学術書の編集者になろう

30歳の学術書編集者が出版の世界について考えます

出版クロニクルI

2007年8月から2009年3月まで。

のちほど感想を。

創文社の系譜

ぼくは出版社の社史を読むのが好きで,

色々と読んでいます。

筑摩・岩波・みすず・未来社あたりは定番として,

講談社小学館・文春・有斐閣・青林・日本経済評論などなど。

ただ最近は不況のためか減っています。

編集者本でもある程度は代替できます。

 

最近話題になっている創文社は弘文堂からの独立ですね。

未来社の西谷さんも,同時に弘文堂から独立しています。

こう考えると,弘文堂って結構おもしろい存在だと思います。

サイマル出版の田村勝夫さん,晶文社小野二郎さんなど,

その後の出版界の著名人も一時は在籍しています。

 

こういう視点で学術書を眺めると,

少し変わったおもしろさがみえてくるかもしれません。

 

 

創文社

ついにツイッターで流れ始めました。

あの伝統ある学術出版の雄,

創文社が数年後に会社を解散するそうです。

人文社会科学を志す者なら,

誰しも一度は手に取ったことがあるのではないでしょうか。

私も10冊前後,お世話になりました。

 

知り合いの著者から噂は聞いていたものの,

こうなってしまうと悲しいですね。

ほんとうに良書の多い会社です。

 

しかし,売れるものを作らなかったのも事実。

創業当時は団藤先生の体系書など,

売れるものも出していましたが,

その志の高さから,

次第にテキストの刊行が減ってしまった印象です。

 

私はビジネスとして学術出版を成り立たせたい。

そのためにはテキストも出すし,

試験に役立つ本だって出す。

それは当然の選択だと思っています。

教養主義の立場から批判する人たちとは,

残念ながら一緒にやれません。

 

大きな会社と小さな会社

出版社自体,大きい会社はほとんどない。

講談社小学館集英社だって,正社員は1000人以下では?

その社会的な影響力に比べた業界の小ささ。

 

ましてや,学術書の世界なんて・・・・・・

学術の大手,岩波だって,200人いないだろうし,

みすずや勁草など20人程度が普通だ。

それくらい少数精鋭(?)の世界なのだ。

 

実は私,大きめの会社と小さめの会社に所属したことがあります。

ほんとうに対照的な2社ですが,どっちも愉しかったです。

1社目は残念ながら退職しましたが,業界内流動性の高いこの世界ですし,

なんとか2社目に拾ってもらえました。

 

会社ごとにさまざまなことがあるので,

そのあたりもおいおい・・・・・・

おすすめ本

学術書の編集者といっても,ピンキリ。

教養新書の編集者だって学術と言えないこともない(特に中公の歴史系など)。

分野によっても違うので,狭い範囲の話にならざるを得ない。

 

ぼくは社会科学系の学術書の編集をしている。

そして,そのなかでも,政治か経済か法律か社会かで異なる世界を生きる。

そんなニッチな世界であることは理解しておく必要がある。

 

とはいえ,全般的に適用可能な部分は存在する。

 

まずは,学術出版社のかたちを概観できる1冊。

有斐閣東大出版会新曜社,ハーベスト社の4社を素材として,

学術出版社のさまざまなスタイルを理解できる。

本を生みだす力 | 佐藤郁哉, 芳賀学, 山田真茂留 | 本 | Amazon.co.jp

 

次は,学術書の編集者のこころの持ち方の参考書。

講談社という会社で,現代新書を軌道にのせ,

メチエのような選書的なかたちで廉価な学術書をつくった。

お亡くなりになるのが早すぎる。

新版 編集とはどのような仕事なのか

 

最後は,最近刊行された本を。

翻訳書の世界をリードし続けた宮田昇さんによる,

みすず書房の伝説的な編集者,小尾俊人さんを偲ぶ1冊。

小尾さんの修行のすごさにはただただ頭を下げるのみ。

小尾俊人の戦後――みすず書房出発の頃

 

紹介しきれないくらいたくさんの本があるが,

まずはこの3冊を読んでみてください。

 

 

 

はじめます

出版不況が叫ばれています。

雑誌の苦境は相当前から言われてきました。

書籍でも新書レーベルの乱立をはじめとする廉価本への集中や,

硬派な書籍の苦境などが言われるようになり,

学術の名門出版社の営業停止のうわさが飛び交います。

これからますます厳しい時代に入っていくことが予想されます。

 

けれども,ぼくはまだ30歳。

これからもこの世界で生きていきたい。

だって,この仕事はとても愉しいから。

学術に関心をもつ人は一定数はいるはず。

そんな人たちと関心を共有してみたく,このブログを始めてみました。

 

この世界に入ってから数年が経ち,だんだんと判ってきたこともあります。

おかしいと思うこともあれば,やっぱり愉しいと思うこともある。

そんな日々の紹介ができればうれしいです。